〈生き方のstyle〉

生き方は、違っていい。違いこそ、豊かさ。自分に還れば、皆違う。自分を変えようと旅をした。旅は瞑想に導き、僕は僕に還ることにした。

『世界は広く、そして、分かっていることは分からないということだけ。。』

開始十分前にも関わらず、会場には僕しかいません。

通りかかったチベット人に、ライオンマンのことを尋ねると顔をしかめました。
まるで、彼とは関わってはいけないとでも言うように。





皆さん、ナマステ。

僕です、ナマスカールザキダイです。



ライオンマンというチベット人ダンサーとであった僕は、彼の持つ圧倒的なLOVEを確かめるため、ライオンマン単独ダンスショーへ行くことを決めたのでした。


↑ライオンマン。




チベット人の話によると、彼は退屈なダンスをするそうです。
不安は若干増しましたが、僕は彼の持つ圧倒的なLOVEを信じて待つことにしました。


開始直前に人がぞろぞろ集まりだし、全部で20名ほどでしたでしょうか。
案外小規模です。




ライオンマンという名前を自分につけるあたり、ハート型のサングラスを常用するあたりから、かなりポップなダンスになることを予想していました。

が、彼はチベット伝統の装いで登場しました。

サングラスも見当たりません。

サングラスを常用する人間がいつもそうであるように、彼はつぶらな瞳をしていました。



チベットの伝統ある歌を歌いながら、伝統的な踊りを始めます。
日本で言ったら、「君が代」クラスのメロディでした。


期待の裏切り方が尋常じゃないです。
その道においても雲の上の実力です。

僕があからさまに愕然としていると、所々ですこしポップなAKBみたいな動きを混ぜてきました。クオリティは小学生男子以下です。時々こけそうになってましたからね。

この時点で、二組の欧米人が退席していきました。





早い判断というのはいつでも大切です。
ただ、本質を見極める必要があります。
ライオンマンの本質がこのとき隠されたままであることを僕は感じていました。





これは、ただの見せ掛けでさわりに過ぎない。




後でわかったのですが、ここで故意に退屈なものを見せることで、彼のほうから観客を絞っていたようです。






ダンスショーなのに観客全員が下を向いてしまうという事態が生じた辺りで、伝統舞踊は終わりました。


「続いて、自分を解放するダンスをお見せします。」



彼は時計回りに回転を始めました。

ただ、それだけでした。




本当にそれだけでした。





途中、10分ほどした辺りで逆回転への切り替えがありました。


20分程、自己解放のダンスは続きました。


不思議と誰も席を立ちません。


回転を終え、自己を開放しきった彼はふらついています。




ふらつくことをいいことに、観客の一人に近づきます。

手をつかみ、ステージへと連れて行きます。









観客参加型ダンスの幕開けでした。








頭をなで回され、そこから体全体を流れるようになで回された参加者は、流れるようにもといた場所に戻されます。

またもう一人が連れて行かれます。

彼女は、ライオンマンのおしりと背中を触らされていました。


もちろん、僕も連れて行かれます。


腕を大きく前後に揺さぶられます。

僕の手にはバッグが掴まれていたのですが、ライオンマンが僕の手を揺さぶる度にバックが顔面を捉えてきます。

僕は身を任せ、されるがままです。


その姿に爆笑をしてしまう欧米人が出てきた辺りから、空気が変わり始めました。



ヒッピー風の欧米人が連れていかれました。

もちのろんで彼はこの直後、後頭部強打を体験します。


誰もが息を呑みましたが、ライオンマンは動ずることなく彼を下敷きにし、口からコインのような何かを吐き出しました。


手品のつもりでしょうか?

それとも、コインに見えたそれは下敷きにされた彼の心の闇がその形を変えたものなのでしょうか?


欧米人夫婦が連れて行かれます。
両足を引っ張られ床を引きずられるようにして。。



「パパー!ママー!!」


悲痛な叫びが聞こえます。

きっと娘なのでしょう。


彼もこの直後、後頭部強打を体験していました。


容赦の無いライオンマンは続けます。



女性が二人、かつがれるように連れて行かれます。

一人の女性は、強烈に嫌がり叫んでいます。

その叫びは、その女性の内なる何かがこれから行われる行為により失われてしまうことを我々に予感させました。



それは、僕たちの目の前で起こりました。


技名は不明ですが、ライオンマンの中でもスペシャルな技が炸裂します。

叫びを上げていた女性は、強烈に嗚咽し、何かのタガが外れてしまったように泣き叫びます。
結局彼女は、その姿から回復できませんでした。




会場の空気は完全におかしな方向へ行ってしまっています。


ライオンマンは平然と次のダンスの説明をしていましたが、僕をはじめ誰もがダンスの説明など聞いていなかったことでしょう。


恐るべしライオンマン。


彼の次なるダンスで、僕は第七のチャクラを開くことになります。


そのダンスが、
これです。


一人につき、数分この状況です。



僕のときは特別サービスでしょうか?

押し倒され、両手を封じられました。
彼の鼻と僕の鼻がぶつかります。


強烈な鼻息です。





彼の鼻息を肺の奥に感じます。




彼の瞳は僕の網膜を通過し、視神経を通りながら後頭部にある僕の何かを探していました。





時間にして、数分の出来事であったでしょう。



さりとて僕には、人類が生まれて今に至る過程がその時間を十分に表現して僕の目の前に現れたかのように感じられました。





気がつくと、そのダンスは終わっていました。



ライオンマンは最後のダンスに移行しています。

最後のダンスは、自分のためだけのダンスだということです。




結ばれていた髪をほどき、まさにライオンの様相。
会場中を猛烈なスピードで駆け回り、壁という壁にぶつかっています。
顔面の強打ぶりが甚だしく、思わず目を背けたくなります。



ハート型のサングラスを、まるで体の一部分とでもいうようにどこからともなく取り出し、柄の部分を目に突き刺しました。

このときの彼は、人間の領域を脱してしまっていることを僕は感じていました。






これは、ただの奇をてらうパフォーマンスではない。
彼は、特殊な方向へ向かい人間を離れようとしている。





トイレットペーパーを持ち出した彼は、それを猛烈な速度でほどき上げると体にくくりつけます。

そして、またもどこから取り出したか、みかんを手にしています。
みかんを食べています。
ライオンがしまうまを食らうかのごとくみかんを食べ終えた彼は、自分の体に火をつけました。

燃えるライオンマン↑。


何をしたのでしょうか、彼は何かをしました。


あれ程燃えていた炎は、一瞬で姿を消しました。

拍手が沸き起こり、観客はスタンディングオベーションです。
ただひとり、僕を除いて。



ダンス終了を告げた彼は、観客に囲まれて握手を求められたり、忙しそうです。
どうやら観客のほとんどは、チャクラが開かされるレベルでは済まなかったようです。

恐るべし、超人ライオンマン。



僕は、このダンスを見学して以降、後頭部の一部分が開放されてしまった感覚を常に感じています。
悪い人といい人を見抜くのに、今までは2秒かかっていましたが、ダンス見学後はチャクラが開放されてしまっているため、2秒でした。
しかし、ライオンマンが常に僕と共にいる一体感を感じています。


僕も少し、ライオンマンの道に足を踏み入れてしまったようです。




世界は広いです。



今まで絶対だと信じていたものが、滑稽な作り話にしか過ぎないかのような。そんな矛盾に満ちているといってもいいかもしれません。
世界は広く、そして分かっていることは、分からないということだけ。



ライオンマンからチャクラを開かされてしまった僕の心にこの名台詞が、ダラムシャーラーの冷えた風とともに吹き抜けていきます。。


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今回はちょっと長かったね、退屈させちゃったらごめんなさいね。。
最後まで読んでいただいてありがとう☆

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